へぶんずぷれいす

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□ はるみち □

運命1

カタカタ、カタカタ。

一定のリズム刻んで、歯車は回る。

カタカタ、カタカタ……。



――――――。



何度目かになる夢を見た。
世界は薄暗く、影を落として、なんの音も聞こえない。
人も木も動物も、石の様に固まり、動き一つせず。
ざわめきはもとより、鼓動も何もない。
モノクロの世界。

『!?』

突然の轟音に振り返る。
真っ黒な竜巻のような塊が、全てを飲み込んでいく。
逃げ惑う、僕には何も力がない。
逃げるしかない。
間近に迫る、恐怖、絶望。
最後に残るのは、なんだ…。
塊に、飲み込まれそうになった時。
フラッシュがたかれた様に、光が、はじけた。
美しい人がいた。

『―――。―――。―――。』

僕に語りかけるように、何かを言った。
最初、その言葉をまったくに聞き取ることは出来なかった。
回を重ねるごとに、それは鮮明になり。


そして。


いつしかそれは、まるで現実のように…。


『沈黙が迫ってくる。
早くメシアを探さなきゃ…。
それが出来るのは、


わたしと…あなた。』


――――――。


「―――――――ッ!!」
そこには、いつもの天井。
ゆっくりと身体を起こす。
ベッドに座ったまま、震える手で、
右の窓のカーテンをシャッと開ける。
「………。」
安堵の溜息が出た。
鳥が、青空を駆け回り、綿菓子のような雲が、ぷかぷかと浮かび。
地上では、車が排気ガスを撒き散らして、走り去っていく。
ソコには、昨日と変わった様子など、一欠けらもない世界。
空は、青く、鳥は、その空で唄を歌い、人は、何気ない世間話に夢中になる。


「……ちんもく…。」


汗で重くなった金色の髪が、朝の光に輝いて、額の汗が、
頬を伝って滑り落ち、シーツに小さなしみを残した。

予感がした。

ザワザワと耳の奥で、風の騒ぐ声…。
近いようで、遠いような。
そう、まるで、薄いフィルターに遮られたように不鮮明に聞こえてくる。
額に張り付いた髪をかき上げ、くしゃりと握り、瞼を伏せた。

「……僕は。」

声は掠れ、眩暈を感じた。

「僕は、一体…何者なんだ…。」

そして、あれは誰だ、なんだ。
誰だ。

知ってる?

知らない。

わかる?

わからない。

わからない。

わからない。

「…………。」

あぁ、どうしてだろう。
こんなに、こんなにも、



ココロが切ないのは…。



カタカタカタ。

一定のリズム、乱さずに。

カタカタカタ。

確実に、歯車は回り続ける。



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Date:2010/02/12
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